標準的なばねが出来るまでの工程(圧縮ばねの場合)
よりよいばねを作るためには、1.ばね設計が適切であること、2.最適な材料を選択すること、3.ばねの製造が正しく行われることが大切です。ここでは、材料が常温状態で成形する冷間加工の圧縮ばねの例を示します。工程については、定まったものが存在するわけではなく、ばねの用途や要求品質、生産設備などにより、工程を増減したり、順序を入れ替えたりする場合があります。
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材料
ばね用鋼線にもピアノ線や硬鋼線、ばね用ステンレス鋼線のような冷間加工線の他、ばね用オイルテンパー線のような熱処理線などがあります。いずれもJISで規格化されています。材料は連続してコイル状に巻かれているのか一般的です。
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コイリング
圧縮ばね成形用のコイリングマシンには、カム式、NC式、旋盤式などがあり、材料をコイル状に成形します。
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熱処理
熱処理の目的は、ばねとしての最適なばね特性を確保するために行います。使用するばね材料の種類によりばね成形後の熱処理方法は変わります。小物ばね(冷間成形ばね)には低温焼なましを行うことが多く、熱処理設備は構造により、連続式炉やバッチ式炉があります。
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端面研削
ばねの両端面を砥石で研削することにより、直角度をよくし荷重の偏心、座屈などを防ぐ目的で行います。一般的に線径の細い(1㎜以下)もので、ばね指数が10をこえるものは研削を省略しても精度上は問題がほとんどありません。
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ショットピーニング
弁ばねなどのように繰返し荷重を受けるばねの疲れ強さの向上を目的に、成形後のセッチングに先立ち行われる処理で、小さな金属球をばねの表面に打ちつける工程です。
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2次熱処理
ショットピーニングは一種の冷間加工であるため、ばねはへたりやすい状態になっていますので、低温焼なましを行います。
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セッチング
ばね使用中のへたり量が問題になるばねに対して行われる処理です。
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防錆処理
防錆対策では、ステンレスなどの耐食材料を使用する他、各種めっきや防錆油、塗装、化成処理などがあります。小物ばねには、防錆油や電気亜鉛めっきが一般的です。
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完成検査
寸法検査の他、荷重特性を荷重試験機で検査します。